
格安SIMを比較するとき、最初に目に入るのは「月額○○円」という料金表示です。
当然ながら、毎月の通信費を節約したいのであれば、月額料金は重要です。
しかし、ここで注意しなければならないのが、表示されている月額料金だけで契約先を決めてしまうことです。
一見すると最安に見えるプランでも、通話オプションや追加データ、各種手数料などを加えると、別のプランより高くなることがあります。
また、キャンペーン終了後に料金が上がるケースや、利用条件を満たさなければ広告通りの金額にならない場合もあります。
格安SIMで本当に通信費を下げるためには、
「月額料金はいくらか」ではなく、「自分が実際に毎月いくら払うことになるのか」
を確認する必要があります。
この章では、料金表示だけに惑わされず、実際の支払額を正しく比較するための考え方を解説していきます。
「月額○○円から」の「から」に注意する
格安SIMの広告では、
「月額980円から」
「月額1,000円以下」
といった魅力的な料金表示を見かけることがあります。
もちろん、その料金自体が間違っているという意味ではありません。
ただし、その金額が自分の使い方にも当てはまるのかを確認する必要があります。
たとえば最安料金が、
- データ容量が非常に少ないプラン
- 通話機能を含まないプラン
- 一定の割引条件を満たした場合
- キャンペーン期間中だけの料金
ということもあります。
自分は毎月10GB必要なのに、広告の980円が1GBプランの料金なら、その金額で利用することはできません。
まず確認すべきなのは、
「広告の最安料金」ではなく、「自分に必要な容量の料金」
です。
ここを間違えなければ、料金比較はかなり正確になります。
通話オプションを加えると順位が逆転することがある
データ通信だけを見ると安いプランでも、電話をよく使う人の場合は話が変わります。
たとえば、A社の基本料金が月1,500円、B社が月1,800円だったとします。
基本料金だけを見ると、A社のほうが300円安く見えます。
しかし、自分に必要なかけ放題オプションが、
- A社:月1,500円
- B社:月900円
だった場合はどうでしょうか。
A社は合計3,000円、B社は合計2,700円です。
つまり、基本料金では安かったA社のほうが、実際の支払額では高くなることになります。
これは格安SIM比較で非常によく起こる考え方の落とし穴です。
電話を利用する人は、必ず、
基本料金+必要な通話オプション
で比較するようにしましょう。
さらに従量課金の通話を利用する場合は、普段の通話料金も加えて考える必要があります。
データ容量が足りないと追加料金で高くなる
節約を意識するあまり、小さすぎるデータ容量を選ぶのも注意が必要です。
たとえば、普段は月8GB程度使っている人が、料金の安さにつられて3GBプランを契約したとします。
当然ながら、月の途中でデータ容量が足りなくなる可能性が高くなります。
そのたびに追加データを購入していれば、最終的な料金は高くなってしまいます。
たとえば、
3GBプランが月1,000円でも、毎月追加データに1,500円使えば、実際の支払いは2,500円です。
一方、最初から10GBで月2,000円のプランを選んでいれば、そのほうが安かったことになります。
「最安プランを契約すること」と「毎月の支払いを最小にすること」は同じではありません。
データ容量は、自分の平均使用量より少し余裕を持たせて選ぶほうが、結果的に安くなることがあります。
キャンペーン終了後の通常料金も確認する
乗り換えキャンペーンでは、一定期間だけ月額料金が割引されることがあります。
最初の数か月が非常に安ければ、大きな魅力を感じるでしょう。
ただし、本当に確認したいのは、割引終了後の料金です。
たとえば、通常月額2,500円のプランが、最初の6か月だけ1,000円になるとします。
広告では1,000円という数字が目立つかもしれません。
しかし1年間利用した場合、
- 前半6か月:1,000円 × 6か月 = 6,000円
- 後半6か月:2,500円 × 6か月 = 15,000円
となり、年間では21,000円です。
一方、別のサービスが割引なしで毎月1,700円なら、年間では20,400円になります。
最初の料金だけを見ると前者が圧倒的に安く見えますが、1年間では後者のほうが安いということもあり得ます。
キャンペーン料金ではなく、1年間の総額で比較する。
この習慣をつけるだけで、料金選びの失敗はかなり減らせます。
端末代金や初期費用を通信料金と混同しない
格安SIMへ乗り換えるときにスマートフォン本体も購入する場合は、端末代金も発生します。
ここで注意したいのは、通信料金と端末代金を分けて考えることです。
たとえば、
- 通信料金:月1,500円
- スマートフォン本体:月2,500円
なら、毎月の請求額は合計4,000円程度になります。
この請求を見て、
「格安SIMなのに4,000円もする」
と考えるのは少し違います。
通信サービス自体は1,500円で、残りはスマートフォン本体を購入した費用だからです。
また、乗り換え時にはサービスによって、契約事務手数料、SIM発行関連の費用などが発生することがあります。
毎月の料金が安くても、初期費用が高い場合は、短期間しか使わなければ割高になる可能性があります。
反対に、数年間利用するなら、数千円程度の初期費用は長期的にはそれほど大きな差にならないこともあります。
初期費用、通信費、端末代金を分けて整理すると、本当のコストが見えやすくなります。
セット割は割引額より「最終支払額」で判断する
家族契約や自宅インターネット、クレジットカードなどとの組み合わせで、毎月の料金が割引されるサービスもあります。
「毎月1,100円割引」
などと表示されていると、とてもお得に感じます。
しかし、本当に大切なのは割引額ではありません。
割引された結果、最終的にいくら払うのかです。
たとえば、通常料金5,000円から1,000円割引されて4,000円になるプランと、割引なしで月2,500円のプランがあったとします。
前者のほうが「1,000円も割引されている」というお得感があります。
しかし、実際には後者のほうが毎月1,500円安くなります。
さらに年間では、
1,500円 × 12か月 = 18,000円
の差です。
割引は魅力的ですが、割引されているという事実そのものに価値があるわけではありません。
見るべき数字は、いつでも自分の財布から最終的に出ていく金額です。
1年間の総額を書き出せば本当の安さが見える
料金比較で迷ったときに最もわかりやすい方法が、1年間の支払額を書き出すことです。
たとえば候補となる3社について、
- 毎月の基本料金
- 通話オプション
- 必要になりそうな追加料金
- 初期費用
- キャンペーン割引
を計算します。
さらに、現在の通信会社を利用し続けた場合の1年間の料金も計算してみましょう。
たとえば、
現在:年間84,000円
A社:年間30,000円
B社:年間27,000円
C社:年間32,000円
となれば、料金面ではB社が最も有利だと簡単に判断できます。
もちろん最終的には、通信速度やサポート内容なども含めて決めます。
しかし、年間総額まで数字にすれば、広告の印象に左右されにくくなります。
数百円の差でも12倍すれば、年間では数千円の違いになる。
この視点を持つことが、通信費節約では非常に重要です。
まとめ
格安SIMを選ぶとき、月額料金は重要な比較材料です。
しかし、表示されている最安料金だけで決めてしまうと、実際には思ったほど安くならないことがあります。
料金を比較するときは、
- 自分に必要なデータ容量の料金
- 通話オプション
- 追加データ料金
- キャンペーン終了後の通常料金
- 初期費用
- セット割終了後の料金
まで含めて確認することが大切です。
そして、最も簡単なのは1年間の総支払額を計算することです。
月額980円という数字だけを見るより、年間でいくら払うのかを書き出したほうが、本当に安いサービスが見えやすくなります。
格安SIM選びの目的は、「最安」という表示を見つけることではありません。
自分に必要なサービスを使いながら、最終的な支払額をできるだけ小さくすることです。
料金の見方がわかれば、広告の数字に振り回されず、自分にとって本当にお得なサービスを選べるようになります。
そして、料金と並んで格安SIM選びで気になるのが通信速度です。
次章では、昼休みや通勤時間などに通信速度が変化する理由と、速度をどこまで重視すべきなのかを詳しく解説していきます。

